大学生が見た農業の最前線

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特集 「農業で働く」ってなんだろう!?~イメージを変える農業者たち~

【新規就農&起業】
「儲かる農業のロールモデルになり、若い就農者を増やしたい!」
ROSE LABO株式会社 (埼玉県)

「食用バラを作りたい!」
その想いを実現するため大学を中退し、単身で農業研修へ。約1年間の研修を経て新規就農し、22歳で食用バラ専門企業「ROSE LABO株式会社」を設立した田中綾華さん(代表取締役)。食用バラの生産や品種改良、6次産業化への挑戦、そして今や年商1億円を超える同社への想いなどを伺いました!


△ROSE LABO(株)社長 田中 綾華さん

儲かる農業のロールモデルになり、若い就農者を増やしたい!

大学中退~新規就農のきっかけ

―就農のきっかけを教えてください。
 私は東京生まれ東京育ちの非農家です。高校時代は農業に全く興味がなく、いかに可愛くいるか、いかに流行に乗るかを追求し、いつも友達と馴れ合った生活をしていました。それに、私は今26歳ですが、「平成生まれSNS育ち」と言わる世代で、常に周りの目や評価を気にしていました。
 それが大学進学をきっかけに変わりました。周りの友人がみんなしっかりとした夢を持っていたり、人生のことを考えている姿を見て、「自分は今まで誰の人生を歩んできたのだろう」と劣等感を抱きました。そこから「自分の人生は自分ために、しっかり歩もう」と考えるようになりました。

―なぜそこから食用バラを生産しようと思われたのですか?
 曽祖母の影響が大きいですね。曽祖母は私の何よりの憧れの人です。
 曽祖母は、早くに亡くなった曽祖父の家業を切り盛りしながら、女手一つで7人の子を育て上げました。とてもしたたかで、太陽のように輝いて、いつもオシャレで。そして「バラは美と幸せのシンボルで女性のための花だよ」と言って、常に身につけていました。その影響で私も家族もバラが大好きで、家にも常にバラが飾られていました。
 そして大学時代のある日、母から「食べられるバラがあるよ」という話を聞き、すごく可能性を感じました。「曽祖母のような生き方をしたい」という想いと、ゼロから価値を生み出す仕事に魅力を感じ、食用バラの生産を始めようと思いました。

―それがきっかけで大学を中退されたのですね!不安はありませんでしたか?
 むしろ希望に満ち溢れていましたね!人生の中で仕事はかなりの割合を占めると思うのですが、「自分の好きなことを仕事にできる!」と思いすごくワクワクしました。また、「農業は技術職で難しそうだな」という印象を持っていたのですが、それまで全く農業に関わってこなかった分、「勉強している人からは出遅れている。早く追いつかないと」という焦りもあり、親にも相談せずに中退し、大阪の食用バラ農家で 1年間修業し、ノウハウを取得しました。

―その農家さんにはどうやって行き着いたのですか?
 インターネットで「食べられるバラ」と検索してトップに出てきたのでそこにしました。「トップに出るくらいだから一番有名かな」という単純な考えです(笑)。

―その時から独立を考えていたのですか?
 当初は考えていませんでしたが、修行を積む中で考えが変わっていきました。大きなきっかけはバラが持つ様々な効果を知ったことです。具体的には、バラの栄養素にはビタミンCやポリフェノール、ゲラニオールというエストロゲンの分泌を助ける効果があることや、香りにも女性に嬉しい効果があることなどです。ちょうどその頃、「自分が『よい』と思ったものはその価値をほかの人に伝えていく義務がある」という言葉を聞いたこともあり、自分の力で情報発信をしながら生産する道を選びました。

新規就農~6次産業化。そして今後。

―新規就農ということで、農地の確保は大変ではありませんでしたか?
 ありがたいことに人のご縁に恵まれて、約半年間で借りることができました。
 農地を探す条件として、消費地となる東京周辺にあり、かつ暑いところにしました。というのもバラは積算温度1,000℃で一輪咲くので、暖かい方が早く咲くんです。暑すぎると茎が細くなったり葉の色も悪くなるので観賞用の栽培には向いてないのですが、食用バラは花弁しか使わないので一輪でも多くの花を咲かせられる環境を作りたいと思いました。その条件に合う農地を母の知り合いの知り合いが所有していて、約半年かけてその方のところに何回も通って、コミュニケーションをとりながら自分のやりたいことを伝えるなど関係性を築いていき、借りることができました。


△バラの圃場。一輪でも多く花弁を採るため剪定はしていない。

―最初からハウス栽培ですか?
 はい、そうです。ハウス栽培だと温度管理もしやすく、だいたい4月から11月まで連続して花が咲きます。それに雨など外的要因から守ることもできるので、露地に比べて安定的に栽培できます。バラが採れないとビジネスにならないので、ハウス栽培は不可欠ですね。

―その他、栽培のこだわりはありますか?
 当園のバラは全て農薬不使用です。栽培方法はロックウールを使用した水耕栽培で、肥料はオリジナルのものを使用しています。当社ではお客様の安心・安全を一番に考えているので、こうした栽培方法により品質管理も高め、より安心感を高められるよう心掛けています。


―販路についても教えてください!
 自分たちで営業をした飲食店さんに納品しています。自分たちで価格を決めて、自分たちの手で販売する形です。
 販路開拓には苦労も沢山ありましたよ。そもそもエディブルフラワー(食べられる花)の認知も低かったのですが、「バラを食べてお腹いっぱいになるの?」と意地悪を言われたり、アポを取って2時間かけてお店まで行ったのに若い女性は信用できないのか「帰って」と門前払いされたり。

―色々ご苦労もされているのですね…。
 そうですね。ただそれがあったからこそ、6次産業化に繋がりました。就農当初は生の花を売ることしか頭になく、その結果たくさんバラが余ってしまいました。毎日愛情込めて育てたバラは私にとっては子どものような存在なので捨てることはできず、冷凍保存しました。そして、「この冷凍バラを使ってのパートさん達を喜ばせたい!」という想いでバラのジャムを作ったことが6次産業化を始めるきっかけになりました。実はそれまで「6次産業化」という言葉も知らなかったのですが、その経験を元に加工してくる所を探して商品化していきました。加工によってバラの命を長く出来たことが、私にはとても嬉しかったですね。


―そこから様々な商品開発に取組まれたのですね。食品だけでなく化粧品もあることにも驚きました。
 実は化粧品の販売は会社設立当初から考えていました。ただ競合が多い業界なので差別化をするためにも新品種が必要だと思い、品種改良から取り組みました。バラの品種改良は大体5年かかると言われていて、「5,000パターンから1個できればいいね」という感じなのですが、バラの生産と品種改良を専門にされている企業と一緒に取組ませていただき、約2年で化粧品のための新品種「24」を完成させることができました。栽培に携わっているからこその強みですね!それを原料に化粧品開発をし、昨年6月から販売もしています。


―起業して4年目でここまでの取り組みをされている田中さんには圧倒されます!最後に、今後の目標と学生にメッセージをお願いします!
 当社は現在、年商1億円を超えていますが、私が「若い」と言われる間に会社を大きくすることで世の中に与えるインパンクトも大きくなると思いますし、儲かる農業のロールモデルになることで若い就農者が増えてほしいですね。このような挑戦ができるのは農業に無限の可能性があるからだと感じています。だからこそ学生さんにも挑戦してほしいですし、農業に携わることに誇りを持ってほしい。人生は一回きりなので、思いっきり挑戦してください!

公式サイト

 ROSE LABO株式会社 https://www.roselabo.com/



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